溶解度の実験をカガクする

今日は昨日の実験のカガクしてみたいと思います。
中学受験の勉強をしていると食塩水の問題が5年生の算数などで出てきます。最近は食塩水が水に食塩を溶かしたものであるということを知らない子どもがいたりします。『そんなアホな!』と思うかもしれませんが現状は『そんなアホな!』があるんです。食塩や砂糖が水に溶けることを知っている子どもがほとんどですが、どのくらい溶けるか?までは知りません。また、溶けきれなくなるまで溶かすことは家庭ではほとんどしません。したがって、『飽和水溶液(ほうわすいようえき)』などもまったく知らない言葉になります。

さて、ここから本格的にカガクします。

食塩は水にあまり溶けませんが、砂糖が意外によく溶けることは大人でもあまり知りません。食塩(塩化ナトリウム)と砂糖(化学的にはショ糖とよばれます)の25℃における溶解度は、水100gにそれぞれ35.2g、 204.6gです。質量を比較すると砂糖のほうがたくさん溶けます。
しかし、化学では分子量(化学式量)を考えます。分子量とは簡単にいうと物質の分子1粒の重さです。食塩の分子量は88.5です。それに対してショ糖の分子量は342です。なんかショ糖はデカイということがわかります。1粒の重さがちがうので何個溶けたかわかりません。そこで出てくる単位が『モル』です。
『モル』というのは、物質1粒では数字が小さすぎて考えにくいので、現実の物質の量を表すために考え出された単位のことです。なぁ〜んだ『モル』は単位だったのか。Kmやgと同じやん、カンタン、簡単。分子量88.5の食塩なら88.5gが1モル。分子量342のショ糖なら342gが1モルです。では食塩と砂糖の溶けた量を質量とモル数で比べてみましょう。

まず、食塩と砂糖の溶けた質量で比べると 
204.6÷32.5=6.3 質量で考えると砂糖は食塩の6.3倍溶けます。

次にモル数で考えると、
食塩は35.2gなので 35.2÷88.5=0.40モル
ショ糖は204.6gなので 204.6÷342=0.60モル
ということで、モル数、つまり溶けた分子の数では0.4モルと0.6モルなので1.5倍です。
何gか?と質量で考えるとものすごく違いがありそうですが、分子の数のモル数で考えると溶ける量の差は小さいといことがわかります。


見方によってものごとは変わるということですね。