溶解度 砂糖の秘密 その1

4月30日の記事にも書きましたが、最近は食塩水が水に食塩を溶かしたものであるということを知らない子どももいます。
食塩や砂糖が水に溶けることを知っている子どももいますが、どのくらい溶けるかまでは知りません。また、溶けきれなくなるまで溶かすことは家庭ではあまりしません。したがって、『飽和水溶液』などもまったく知らない言葉になります。

食塩は水にあまり溶けませんが、砂糖が意外によく溶けることは大人でもあまり知りません。食塩(塩化ナトリウム)と砂糖(ショ糖)の25℃における溶解度は、水100gにそれぞれ35.2g、 204.6gです。質量を比較すると砂糖のほうがたくさん溶けます。

しかし、化学では分子量(化学式量)を考えますので、分子量の大きい砂糖のほうが質量的にはたくさん溶けるのは当然です。粒子の数で考えると、分子量の大きい砂糖と分子量の小さい食塩ではどちらが多くの粒子が溶けているかがわかりません。

食塩と砂糖の溶けた物質量を求めると、それぞれ0.40モル、0.60モルですから、溶けた質量数の小さい食塩の方が粒子で考えると多く溶けこんでいることがわかります。話がややこしくなってきたので砂糖の話にしぼりましょう。

 スーパーなどで売っている上白糖は約97.6%,グラニュー糖は約99.9%がショ糖です。どちらも,かなり純粋なショ糖です。

   出典:理科年表
上の表からもわかりますように、砂糖はかなりとけます。水1カップに砂糖2カップぐらいの目安です。そんな砂糖にはいろいろな働きがあります。それを紹介しましょう。



保存性
 食品を保存するときに、一定量の水分を除いてしまいます。すると、微生物の働きが抑えられます。微生物の動きが抑えられる=腐りにくいといことです。どういうふうにして腐らないようにするかというと、食品に含まれている水分は固定のものではなくて、水が置かれている環境の湿度で変わります。微生物が使うことのできる水分は、食品に含まれている水分の中で 「自由水」 という水です。食品に含まれている水分は、大きく分けますと自由水と結合水との2つのタイプがあります。つまり、乾燥すると自由に出ていって、水に漬けるとまた入ってくるというような、比較的自由に動くことのできる自由水を微生物が使って食品を腐らせています。この自由水を砂糖は自分が溶けるために使ってしまうので、微生物が使う自由水がなくなり保存性が高まります。


砂糖の保存性以外の秘密は明日以降につづきます。