気体の性質6 身のまわりに潜む危険な気体

においを調べる時には、気体の溶けた水溶液の入った試験管に直接鼻を近づけてにおいをかぐことは危険です。手であおいで、顔に空気が流れてくるようにしてにおいを調べる方法が正しいと学習します。


では、実際に濃いアンモニア水のにおいを直接鼻でかぐとどうなるでしょうか。私は大学生の時にやったことがあります。人間には危険を感じたら脳まで情報が届く前に体が判断して危険回避する反射というものがあります。熱いものをさわった時に、手をパッと引っ込めてしまう行動です。


濃いアンモニアのにおいでこの反射が起きました。試験管ではなくアンモニア水の試薬びんに直接鼻を近づけて、においをかいだ瞬間に首が後ろにガクンと逃げてしまいました。私は大丈夫だろうとにおいをかいだのですが、身体が危険だと判断したということです。刺激臭ってすごい。




気体の性質を知っておくことは、自分の命を助けることにもなります。たとえば、二酸化炭素は無色透明、無味無臭で空気より重い。大切なのは、この二酸化炭素の性質からどういう場合が考えられるかということです。


1997年に八甲田山のガス穴で自衛隊員が火山性の二酸化炭素中毒で死亡した事故がありました。無色透明、無味無臭の二酸化炭素がたまっていることは目で見ても、においでもわかりません。そこに人間や動物が入って行くと簡単に窒息死してしまいます。


トンネルや地下など、まわりより低いところには空気より重い気体がたまりやすいということを知っているだけで事故にあう確率は大きく下がります。


これら以外にも危険な気体はたくさんあります。一酸化炭素は炭素をふくむものが不完全燃焼をすると発生します。無色透明、無味無臭なので発生していても気がつきません。一酸化炭素は血液が酸素を運ぶのをジャマします。Cが重さ12、Oが重さ16なので、一酸化炭素COの重さは28です。空気の重さが29なので、発生した場所の空気中にたまります。中毒事故をよく目にする気体なので、ガスや風呂がま、ストーブなどの使用には必ず換気に注意が必要です。


塩素ガスは黄緑色で有毒です。塩素系の漂白剤やカビ取り剤と塩酸やクエン酸などを含んだ酸性の洗剤と混ぜることで発生します。お風呂の掃除中に主婦が死亡したという事故も過去にはありました。


まだまだ危険な気体はたくさんありますが中学受験の勉強を通して、すぐそこに潜んでいる危険に対して正しい対処ができるようにしましょう。