海草と海藻 漢字が持つ意味の違い

昨日のジュゴンの記事で、ジュゴンの食べ物は海草であると書きました。海草と海藻、普通の人はそのような違いにほとんど気がつかないかも知れません。『草』と『藻』ここには進化の過程での大きなちがいがあります。


『草』は種子で増える種子植物であり、『藻』は胞子で増える藻類です。


植物は、藻類 → コケ類 → シダ類 → 種子植物と進化してきました。そして、進化の過程でどんどん周りの環境に適応していきました。


種子植物と藻類の違いはいろいろあります。種子植物には根・茎・葉の区別がありますが、藻類には根・茎・葉の区別がありません。根が有るか無いかで育つ場所が大きく異なってきます。種子植物は根があるのでドロや砂の海底に根を張ることで育つことができますが、藻類には根がないのでドロや砂の海底では流されてしまい育つことができません。なので藻類はおもに岩場に多く生えています。


ジュゴンの好きなウミヒルモは海草なので、光合成をするために太陽の光が届く浅い砂底のラグーン内に生えています。しかも環境省レッドデータブックには準絶滅危惧種としてのっています。そんな日本のジュゴン水産庁レッドデータブック、日本哺乳類学会のレッドリストには絶滅危惧種、IUCN(国際自然保護連合)のレッドリストには絶滅危急種としてのっています。


絶滅危惧種を好んで食べる絶滅危惧種…。何年後かにはどちらも地球上から絶滅してそうな雰囲気が漂ってますね。


実は、ゆとり教育で有名な現在の文部科学省の中学校学習指導要領には『進化』がありません。ですから当然、今の中学校の検定教科書には『進化』についての記述はないし、今の中学生は『進化』について学習していません。ただ、子どもたちはゲームやマンガを通してポケモンが進化することぐらいは知っています。そして、進化すれば以前に比べて外見上も性質も異なることも知っています。また、すべての生物が進化によって外見上も性質も異なるわけではないことも知っているはずです。ここに少しだけ希望があるような気がします。