普天間基地移転問題と日本最後のジュゴン

先日、『防衛省は14日、在日米軍再編への協力度合いに応じて地方自治体に交付する再編交付金の2008年度1次内定額として、米軍キャンプ・シュワブ沖に普天間飛行場代替施設建設を受け入れる名護市と宜野座村にそれぞれ9億7000万円、1億6100万円を交付することを決めた。』というニュースがありました。


じつは、このニュースはジュゴンにとっては大変なことなんです!


ジュゴンはオーストラリアでは手厚い保護を受けていますが、それ以外の国や地域では手厚く保護されているわけではありません。そんなジュゴンは世界的に絶滅の危機に直面している野生動物の一種です。


日本にもジュゴンは生息しています。沖縄県の名護市辺野古周辺の海域にジュゴンは細々と生き残っています。ここが日本のジュゴンの最後の生息地であり、最も北にすむジュゴンの生息地でもあります。なぜ、ここだけになったのでしょうか?実はこの場所には在沖縄米軍基地があります。在日米国海兵隊基地キャンプ・シュワブがそれです。基地があったから開発されずに自然が残り、ジュゴンが生き残りました。

昔、沖縄にはたくさんのジュゴンがいました。今はキャンプシュワブ沖に20頭ぐらいしか生息していないと言われています。ジュゴンの食べ物は海草です。ジュゴンの食べる海草はサンゴ礁のラグーンに生える海草藻場にあり、特にウミヒルモを好んで食べます。昼間は怖がって沖にいるジュゴンは夜になるとラグーンの切れ目から入って来て海草を食べます。漁業をする漁師さんは魚がよく取れるラグーンの切れ目の入口に定置網を仕掛けて漁をします。その定置網にジュゴンは引っ掛かってしまい、哺乳類であるジュゴンは息ができなくなって死んでしまいます。キャンプシュワブ沖のラグーンは基地があるため、漁ができなかったのでジュゴンが生き残ったのです。

その最後のジュゴンの生息地が埋め立てられて飛行場に変わろうとしています。沖縄にはまだジュゴンが食べる海草藻場が残っている海域があります。他の海域に食べ物があるのになぜジュゴンがいなくなったかは先ほど書いた通り定置網に引っ掛かって窒息死してしまうからです。だから、飛行場を建設する前にジュゴンを引っ越しさせようとする案があっても定置網がある限りジュゴンは引っ掛かって死んでしまいます。漁師さんに毎日夜通しジュゴンが入らないように見張るようにしてもらうわけにもいきません。

ジュゴンは大人になるまで6〜17年かかります。そして、妊娠期間が13〜15ヵ月と長く、一度に一頭しか子を産まないのでいったん数が減るとなかなか増えません。最後のジュゴンを守るためにはどうすればよいか?なかなか難しい問題ですね。


1つのニュースのウラにはマスコミが伝えていない様々な環境問題などを見つけることができます。