水溶液の性質01 中和は化学反応式で①

中和は中学受験理科のなかでは難しい問題に分類される単元です。たしかに、そのまま問題を解こうとすると、長〜い問題文の中から中和するときの比を見つけられなくて、「わかんない!」となってしまいます。


そして、比が見つからないまま、問題を解きすすめて、なかなか解けなかったり、時間がかかったりします。ところが、化学反応式を使って問題を解き始めると、不思議と簡単に解けてしまいます。


化学反応式を使うメリットは、中和反応の流れが頭の中でイメージできるということです。


たしかに小学生に化学反応式は難しすぎるという意見は多々あります。でも、そもそも化学式は昔の人たちが、いかにして簡単に書き表すか?をテーマに工夫を重ねて作ってきたものなので、仕組みさえ理解してしまうととても簡単です。


また、中学受験が終わって私立中学に入学しても理科では必ず化学式が出てきます。そのときに、化学式の基本があるのとないのでは大きなちがいがあります。実際に、私が教えた生徒たちが化学式を中学受験のときにやっていて本当に良かったと言っています。


では、はじめに塩酸と水酸化ナトリウム水溶液に混ぜて完全に中和するときを考えます。それぞれを化学式で書くと塩酸はHCl、水酸化ナトリウムはNaOH、食塩はNaCl、水はH2Oです。これを使って化学式で表すと、
塩酸+水酸化ナトリウム水溶液 → 食塩+水
HCl+NaOH → NaCl+H2O
となります。


ここで気づいてほしいことは、塩酸のなかのClと水酸化ナトリウムの中のOHが入れ替わっているだけだということです。


できたものは食塩と水なので溶液は中性で、水分を蒸発させると食塩が残ることがわかります。そして、
2HCl+2NaOH → 2NaCl+2H2O
3HCl+3NaOH → 3NaCl+3H2O
と書いて行くと、混ぜるHClとNaOHの比が1:1で、反応後にできるNaClとH2Oの比も1:1であることに気がつきます。
ここまでは完全に中和するときです。