植物1 知っている子だけがトクをする植物の進化

中学受験の植物はどの参考書を見ても種子のつくり、花のつくり、根・茎・葉のつくり、虫ばい花・風ばい花など、覚えておかないといけないことのオンパレードです。


こんなにたくさんのことをどうやって覚えるのでしょうか?ゴロ合わせで覚える。歌にして覚える。問題演習を繰り返して覚える。いろいろ方法があります。でも、たくさんのことを覚えるには時間がかかります。そのうえ、せっかく覚えても、忘れることもあるし、覚えていないことが出題されると、もうそれまでになってしまします。


では、どのようにすればラクして成果を上げることができるのでしょうか?答えはカンタン!たくさんの植物をわかりやすいように分類したのは人間です。だから、その分類方法を知ってしまえば、いちいちトウモロコシはイネ科で、単子葉植物で、風ばい花で…と呪文のように覚える必要がなくなります。


そうすることで大切な脳のメモリーを単調な単語の記憶に使用することはなくなります。また、単語を覚える時間も不要になるので、時間の余裕ができ、遊んでいるのに勉強ができるカッコイイ子になることができます。


植物の分類には進化の過程が関係しています。なので、植物がどのように進化してきたかを知っていると分類がとてもラクになります。ここからは植物の進化を追いかけていきます。


まず、今から30〜35億年ぐらい前にシアノバクテリア(ラン藻)という細菌のようなプランクトンのような生き物が初めて光合成を行ったことから植物の歴史は始まります。そして、プランクトンのようなまま25〜30億年の年月が流れます。


つぎに、コケ類が植物として初めて地上に上陸します。約4〜5億年前のことです。コケ類が上陸する前、つまり今から約5億年ぐらい前までの地球には緑が全くなく、岩石がむき出しの状態でした。ちょうどこの頃、海の中では最初の魚類が登場しています。コケ類には根・茎・葉の区別はなく、体の表面全体で水分や栄養分を吸収していました。


それから、シダ類が登場します。いままで植物が生活していた水中や水辺はそれまでの植物にとって生活しやすい場所でした。ところが、陸上はこれまでの植物にとって非常に厳しい環境でした。陸上はとても乾燥しています。また、風も吹けば、気温の変化も水中に比べると大きく、それが長い間、植物が上陸できなかった理由でもありました。そのきびしい陸上の環境に合うように体を進化させたのがシダ類です。


シダ類にはコケ類と違って、根・茎・葉の区別があります。根と茎と葉に分かれてそれぞれ役割分担をするので、効率よく生活できます。地下の根で水分や養分を吸収し、茎を通して運び、地上の葉で光合成を行う。陸上のきびしい環境が植物を進化させました。このシダ植物までは胞子植物です。


胞子植物は胞子を飛ばして生息する場所を広げます。胞子は動物の精子卵子にあたるもので、胞子自身にオス、メスの区別はありません。また、胞子は精子卵子のようにすぐに受精を行いません。地上に落ちた後、発芽して成長し、メスやオスの「配偶体」という体をつくります。その配偶体が精子卵子をつくります。胞子は乾燥に強いので陸上の生活に適応できます。しかし、精子が『泳いで』卵と受精する形が今までとは変わらなかったので水辺から遠く離れて増えていくことができませんでした。


ここで、この点をさらに進化させて登場したのが種子植物です。種子植物の最大の特徴は水辺から離れたところでも子孫を残すことができることです。つまり、種子を持ったことによって生きていける範囲が大きく広がりました。そして、広がった先の環境に合わせてさらに進化することによって現在のような緑の地球となりました。


この植物の進化の歴史を知っておくと植物の問題や知識事項が頭の中で整理されます。このあとは次回につづきます。