気体の性質1 発生法

中学受験ではさまざまな気体が登場します。また、それぞれの気体についての発生方法や発生した気体の捕集方法などを含めて気体の性質も覚えてしまわないといけません。そして、塾や学校でもこれは覚えないといけない、あれは知っておかないといけないといっぱい教えられます。しかし、そんなたくさんのことを全部覚えることができるわけがありません。また、それを覚えるための努力と時間がもったいない。ということで、ここでは、気体の発生法、捕集法についてくわしく知ることによって、覚えることを減らすことを目的として話をすすめます。


中学入試で知っている必要のある気体の発生方法は、水素、酸素、二酸化炭素ぐらいです。具体的にそれぞれの気体の発生方法書きます。


まず、水素の発生方法です。使う液体は塩酸です。中学入試で出てくる強い酸は塩酸が大半です。硫酸、硝酸は出題されることは滅多にありません。塩酸に加える固体はアルミニウム、鉄、マグネシウムなど金属です。


ここでは2つのポイントがあります。まず1つめは金属でも銅は塩酸と反応しないということです。塩酸と反応しないので銅では水素が発生しないし、塩酸に溶けません。


もう1つのポイントはアルミニウムや亜鉛などの両性金属です。両性金属は塩酸にも、水酸化ナトリウムにも溶けて水素を発生します。


つぎに、酸素の発生方法です。使う液体は過酸化水素水です。うすい過酸化水素水、オキシドールなどで出題されることがありますが同じ液体です。これに二酸化マンガンという黒い固体を混ぜます。


二酸化マンガンは色を問われることもよくあります。しかし、いちばんのポイントは二酸化マンガンが触媒としてはたらくということです。触媒とは、そのもの自身は変化しませんが、反応のスピードを速くしたり、遅くしたりする物質です。


けがの消毒でオキシドールを使ったときにアワが出ますが、あのアワの正体は酸素です。過酸化水素水から酸素が発生しているのです。


二酸化マンガンが同じ重さで大きな固体の場合と小さな粒の場合ではどちらがよく酸素が発生するかということも問題にされます。答えは記述式になることも多いのですが、「表面積が広くなるから」と書けるようにしておけば大丈夫です。この『表面積を増やして○○』というフレーズは理科の記述式ではよく使われるので、知っているとたいへんおトクです。


二酸化マンガン以外にもオキシドールにキュウリやダイコン、ニンジンなどをすりおろして加えると酸素のアワが発生します。これは野菜に含まれる酵素が触媒になっています。すりおろすのはオキシドールと触れる表面積を増やすためです。ここにも『表面積を増やして○○』が出てきます。


最後に、二酸化炭素の発生方法です。使う液体はここでも水素の場合と同じように塩酸です。加える固体は石灰石、大理石、貝がら、チョーク、卵のからなど炭酸カルシウムをたくさん含むものです。炭酸カルシウムの炭酸の部分に含まれる二酸化炭素がでてきます。